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ランドセルについて詳しくなる話
「金峯山 長谷寺」のご住職がつづった「ランドセルの思い出」
長野県長野市にある「金峯山 長谷寺」。建立は舒明9年(637年)という、由緒正しいお寺です。ウェブサイトも立派!
金峯山 長谷寺:http://www.hasedera.net/

金峯山 長谷寺


なぜお寺? って、ランドセルについて調べていたところ、こちらのご住職の手になる「日記」に「ランドセルの思い出」がつづられていたのを発見。文章も内容も素敵で素晴らしかったので、ご住職にランセル.netでご紹介したいとお願いしたところ、快諾いただきました。

日記には思い出だけでなく、ランドセルにまつわるお話や青春時代の甘酸っぱい思い出、人との社会的な関連など、様々なことが書かれていますので、あえてこのコーナーに掲載させていただきます。

ちなみに、こちらのお寺では様々なご祈願を行っているとのこと。家内安全や商売繁盛はもちろん、「その他随意」とありますので、ランドセルのご祈願もきっと承ってくださると思いますよ。

「ランドセルの思い出 † 住職日記」
(出典:http://www.hasedera.net/blog/2008/04/post_33.html#more

今日は長谷寺の檀家さんの代表である総代職の新旧の交代があった。

檀家総代と言えば、昔は、かなりの重みを持った言葉であったに違いない。今日でも、決して軽いものではないが、僕が幼い頃の総代さんにはなんとも厳めしい威厳が感じられた。当時の総代さんといえば、当然のことながら明治生まれの迫力を漂わせていたのだと思う。そのせいか、少年の僕は、当時の総代さんからは、伊藤博文とか、大久保利通のような圧倒的な威厳を感じたものである。

その威厳のあった総代さんのお一人から、小学校の入学祝に頂いたランドセルが今も保存されている。

もっとも、実用していた当時はひどい扱いだったから、その本皮使用のランドセルは見るも哀れな姿に成り果てているのであるが、そのボロボロのランドセルをふとした折に押し入れの奥に見かけると、あの明治の元勲のような総代さんの姿を思い出すのだ。

不思議なもので、その傷だらけのランドセルは、記憶の中でそうやって威厳のある総代さんのイメージと連結し、その総代さんのイメージは明治生まれの人のイメージへとつながっていく。そうして今では、ランドセルを見ると、本や写真でしか知らない明治という時代の雰囲気までが感じられてくる。

しかも、その一方で、そのランドセルは僕にとっては秘密のタイムカプセルでもある。

というのは、留め金がすっかり壊れてしまっているにもかかわらず、中学校の頃に友人や隣の組の女の子とやり取りした手紙などが秘かに納められているのだ。

今となっては内容を思い出せないが、何か白日の許にさらすにはあまりに照れくさいものとして、もはや使うはずもないランドセルの中に秘匿したものだった気がする。そんなものは青臭いものとして破棄するチャンスはいくらでもあったであろうに、何となく、忘れているうちに、今日に至ってしまった。

総代さんに贈ってもらったランドセルは、小学校の教科書を運ぶ使命を終えてからは、思春期の残滓のようなものが詰め込まれて鍵もかけられずに押入れの奥にしまわれているのである。

鍵は壊れているが、決してそれを開いて読むことはない(と思われる)。

ただし、恋の名言に「恋文を青年は急いで読み、壮年はゆっくり読み、老人は読み直す」というものがあるから、かくなる上は、何とか長生きをして、読み直すまで保存してみるのもいいかもしれない。

明治に通じるランドセルの中には、思春期の思い出の品。。。。

総代さんは、自分の孫のつもりで、住職の子にランドセルをプレゼントしてくださったものだろうが、そのランドセルがそれから何年たっても不思議な思い出を喚起するものになろうとは、想像もしなかったであろう。



住職となってしばらくは、前任の総代さんに助けてもらっていたが、今回初めて自分の代になってからの総代さんを迎えることになった。その意味でも、今回就任してくださった皆さんの存在は僕にとってとても大きなものである。

そう考えてみると、僕にランドセルを贈って下さった総代さんも、父が住職になったばかりの頃を長らく支えてくださった人であった。僕からすれば一番偉いはずの父が、その人を前にするとピリピリとしていたのだから不思議だったのかもしれない。

とすると、僕の息子も、今度就任した新総代の皆さんに対しては、何か特別な思い出を抱くことになるかもしれない。今回就任した皆さんの姿が、息子の中で伊藤博文になるとは思えないが、やがて何かしらのイメージへと像を結んでいくことだろう。その像が、何の因果でか息子の初恋の記憶とつながるようなこともあるのだろうか。

(編集部より:「金峯山 長谷寺」のご住職がつづった「ランドセルの思い出」の著作権は、金峯山 長谷寺のご住職に帰属します。ご本人に無許可で転載することを禁じます)


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